2026/08/09 23:59
何気ないプリントTシャツに見えるかもしれません。
でもこれは、網点の多層レイヤーで作っています。

この質感にたどり着くまで、
仕組みを理解するのに数年かかりました。
これはシルクスクリーンではありません。
機械プリントです。

私が確かめたかったのはひとつ。
機械プリントの質感は、
シルクスクリーンとは別の価値を出せるのか。

超えたい、とは思いません。それは勝ち負けの話で、私の関心はそこにない。
シルクにはシルクの物質があり、それはそれで正しい。
私が知りたいのは、
機械の網点が布の上でしか出せない別の質感が、
本当にあるのかどうかです。

近代の技術は、便利を増やします。
速くて、安くて、細かい。それは前提として認めます。
でも近代の進化にはいつも、失うものが多すぎるという事実がついて回る。
印刷も同じで、機械化の過程で、
手の痕跡や、インクの厚み、刷りのムラが落ちていった。

実際に刷ってみて分かったのは逆でした。
機械プリントは、シルクの劣化版ではない。
ただし、とてつもなく敏感に、
精細にその違いを表現していかなければならない。
そうすると、細かい網点が布の目に沈み、起毛の上で光が散ると、
シルクの厚い版には出ない、別の物質が立ち上がる。
失った代わりに、機械にしか出せないものが乗る。

世界中の何人がこの情報に価値を見出してくれるかわかりません。
数人なのかゼロ人なのか、
でも記録として記していきます。